Hachinosu Records

自主音楽レーベル。蜂ノ巣音盤。所属アーティストが色々な話をします。

昔の話

ハーイ皆の衆、人生終わってるか?絶望です。

この挨拶はネットラップが生んだ最高のパンチラインだと思っていて、こういう鬱屈とした言葉を吐ける土壌として、“ネット”ラップというのは素晴らしい場所だったなとしみじみ思います。昔の話をします。0ボケです。



これ読んでくれる人はきっと知ってると思うんですけど、僕は音楽が好きなんですね。特にHIPHOPなんですけど、他を聴かないという訳ではなくて、いわゆるポップスだって聴くことはあるんです。
日常や生き様、夢や理想を歌ったチルやエモのものや、スキルを誇示するもの、ひたすら遊んで楽しもうというパーティーチューンまで様々に聴くんですが、そんな中でも問答無用で、ジャンルなど関係なくくらってしまう類のものが存在して、それが冒頭で述べたような鬱屈とした言葉を遣った音楽なんです。


さユりって知ってます?みなさん。ユだけカタカナなんですけど

そのさユり、実は好きなんです。曲だけ聴いたら僕らと似た人種なのかなぁとなります。僕らのような人間であればもっと目が死んでるはずなので多分違う人種なんでしょうけど、歌っている内容は僕らのような人間の叫びです。


昔の話ってのはここからで、昔お付き合いしてた女性がさユり好きなんですよ。好きだと聞いたのは別れてしばらく経ってからなんですけど。
今でも仲が良いので、曲を流しながらダラダラと通話をする機会があるんですけど、さユりが流れる度に本当に苦しそうにしていてスッと曲を変えるんですね。
というのも、生まれつき身体がとても弱い人で、そういう事情で色々面倒があって別れることになったりとかしたんです。彼女自身音楽を趣味の範囲でやっていて、ジャンルこそ違うけど僕とは比べ物にならないくらい歌も楽器も上手で、ただ身体の問題で本格的にライブとかはできないし、メンバーに迷惑をかけるからとバンドも組まないしで悩んでたみたいで。
で、ミカヅキって曲に「出来損ないでどうしようもなくて」ってフレーズがあるんですけど、それが彼女の心をズタボロにするらしくて、私は人間の出来損ないだから、生きていくための才能がないからと言っていて、昔とはいえ好きだった女性が苦しんでいるのを見るのはいくら僕でも耐えられるものではなくて、でも、最低だとは思うけど、俺はこの人のこういう脆さとか儚げなところとか、作り物みたいな人生性とかに惹かれていたんだなぁと再認識したりもして、やっぱり俺は最低だな。となった話でした。


たまたまさユりを聴いて思い出した話。なんとなく俺も気分がアレだったので書き殴りたかっただけの話。たまには100%の自分語りに付き合えって話。



指を満足に動かせなくなる時もある。声さえ出せない時がある。神様、私から音楽まで奪わないで。

などと、SNSでもなく創作物でもなく、本気で、心から、涙混じりに言える人間がいったいどれほどいるでしょうか。
青い、クサい、勘違い、なんて貶めるのは簡単かもしれんけど、お前らの考えが及ばないほどに本気で生きてる奴がいるってこと。そういう話。カッケーこと言うのも楽じゃないぜ。お前らみたいなのがいるから。